茨城県の野生動植物データベース

ホンシュウジカ

カテゴリ 再侵入種
生物のグループ 哺乳類
高次分類名【和名】 脊索動物門  哺乳綱  鯨偶蹄目  シカ科 
高次分類名【学名】 Phylum Chordata  Class Mammalia  Order Cetartiodactyla  Family Cervidae
種名/亜種・変種・品種名 種名【和名 英名】 ニホンジカ Sika deer
亜種・変種・品種名【和名】 ホンシュウジカ
種名【学名】 Cervus nippon Temminck
亜種・変種・品種名【学名】 Cervus nippon aplodontus (Heude) 
分布 国内 本州
国外 本州固有亜種。国外では,他の亜種が,ベトナム,中国,朝鮮半島,台湾,ロシアなどに自然分布する。 イギリスなど欧州各地に移入分布している。
生物学的情報 体長は雄90~190 cm,雌90~150 cm。肩高は雄70~130 cm,雌60~110 cm。体重は雄50~130 kg,メス25~80 kgで,雄の方が雌より大きいサイズ二型がある。全身茶色で,尻の毛は白く黒い縁取りがある。オスのみ枝分かれした角をもつが,春先には落下して新しい角に生えかわる。
平地から山地の森林に生息して,木本類の葉や樹皮,草本類,ドングリなどを採食する。林床や草原に生える硬い草本も食べるグレイザーである。
交尾期は9月下旬~11月で,出産は翌年の5月下旬~7月上旬である。早い個体では1歳で妊娠可能,2歳以降は毎年出産するので,繁殖力は極めて高い。
近似種はいない。
分布生息状況 国内では,ニホンジカに属する7亜種が,北海道から九州の屋久島までと,対馬に分布し,そのうち亜種ホンシュウジカは本州に広く分布する。
茨城県では,1890年代には県北の八溝山地域に生息していた記録があるが,1920年代に常陸太田市で捕獲されたのを最後に姿を消した。
しかし2000年代に入って,県北地域で雌,雄個体が捕獲されるなど,時々姿が見られるようになった。また,2014年,常磐自動車道湯ノ岳PA付近にも出現し,2017,2018年には,八溝山頂付近で自動撮影カメラによって複数の雄個体が撮影された。また,出所について詳細が検討されているところであるが,2015,16年につくば市の平野部でニホンジシカの捕獲および交通事故が発生している。しかし,現時点では雌の群れや子連れは確認されておらず,まだ「定着」と断定するには至っていない(2019年)。
再侵入種情報 茨城への侵入年 2000年以降
定着の有無 不明
在来種・生態系・農水産業への影響 生息密度の高い栃木県や群馬県などでは,森林や草原の植生を破壊し,農作物や樹木を食害するなど大きな被害を与えている。本県ではまだ被害は見られない。
対策 専門家による調査や住民からの聞き取りなどによって,侵入(生息)状況の把握につとめている。
特記事項
引用・参考文献 山﨑晃司・小柳恭二・辻 明子 2001 茨城県でこれまでに確認された哺乳類について.茨城県自然博物館研究報告,(4): 103-108.
堀野眞一 2014 第4章 シカの生態と被害対策.pp. 43-57, 「予防的鳥獣被害対策マニュアル」,94 pp., (独)農業食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター.
Wikipedia, ニホンジカ.(2019年4月10日閲覧).
竹内正彦・中村大輔・藤本竜輔・山﨑晃司・後藤優介 2019 茨城県大子町八溝山地域におけるニホンジカの確認.茨城県自然博物館研究報告,(22): 17-23.
執筆者名(協力者名) 山根爽一

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