茨城県の野生動植物データベース

ヒヌマイトトンボ 

カテゴリ レッドデータ種
生物のグループ 昆虫・クモ類
高次分類名【和名】 節足動物門  昆虫綱  トンボ目(蜻蛉目)  イトトンボ科 
高次分類名【学名】 Phylum Arthropoda  Class Insecta  Order Odonata  Family Coenagrionidae
種名/亜種・変種・品種名 種名【和名 英名】 ヒヌマイトトンボ
亜種・変種・品種名【和名】
種名【学名】 Mortonagrion hirosei Asahina
亜種・変種・品種名【学名】
分布 国内 本州, 四国, 九州
国外 香港
生物学的情報 体長約30㎜の小さなイトトンボの一種。雄の胸部には4個の黄緑色斑紋があるのが特徴的で,雌の体色は橙色である。
成虫の出現最盛期は,6月中旬から8月上旬までで,それ以降は次第に減少する。河口付近の汽水域にあるヨシ群落が生息域である。成虫の生息範囲は,幼虫生息地の抽水植物(ヨシ,ガマ,イグサ等)の生育する湿地内の水域の空間やそこに接する水田や休耕田等の空間である。
体形は同属のモートンイトトンボに似るが,体色や斑紋で区別できる。本県ではモートンイトトンボと本種の混生は認められていない。
分布生息状況 1971年に東茨城郡茨城町と大洗町の涸沼沿岸で発見され,1972年に新種記載された。宮城県から大阪府まで10カ所と,大分県,長崎県対馬,日本海岸の数カ所および山口県や岡山県の瀬戸内海側からのみ発見されている。四国からは記録がない。国外では香港に分布する。
本県における生息地は涸沼沿岸の一部と神栖市の利根川の河口域に限られ,分布は極めて局地的である。
レッドデータ・カテゴリ 茨城県2016:絶滅危惧ⅠA類;茨城県2000:絶滅危惧種;環境省2014:絶滅危惧ⅠB類
レッドデータ選定理由 ①生息環境の悪化 ②大部分の個体群における個体数の減少 ③生息地の局限
全国では東北地方から九州に至るまで点々と産地があるが,いずれも局地的であり,生息地のほとんどは海水が入り込む汽水域である。そこに存在するヨシ群落は,河岸・河口の改修,埋め立てなどの開発や河川の水質汚染により減少している。汽水という厳しい環境に生息している昆虫類の数は少なく,貴重である。
生存の危機 海水が入り込む汽水域に存在するヨシ群落は,河岸・河口の改修,埋め立てなどの開発や河川の水質汚染により幼虫生息の通性を失い,急速に減少しており,群落に依存して生活している本種の生存は危機的状況にある。
特記事項 神奈川県(絶滅),東京(絶滅危惧Ⅰ類),千葉(絶滅危惧Ⅰ類),埼玉(絶滅危惧Ⅰ類)。
引用・参考文献
執筆者名(協力者名) 渡辺 健(廣瀬 誠)

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